「夜は短し歩けよ乙女」 読了
本の紹介
記念すべき2冊目は、森見 登美彦 さん による「夜は短し歩けよ乙女」だ。
似ているフレーズに「いのち短し恋せよ乙女」がある。若くてキレイな時期は短いので、今のうちに沢山恋をしよう。という意味だが、同じようにこの本にも
若くて楽しい時間はあっといまに過ぎるから、乙女よ若者よ、積極的に人生を歩み遊び尽くせ
という意味があるようだ。
そんな素敵なフレーズのタイトルは見逃せない。すぐさま2冊目突入である。
心に刺さった文章
宴会のたびに鰻をまねた詭弁踊りを踊ることを部訓へ織り込んで嫌がる後輩に無理強いし、それが三十年以上の時をこえて脈々と受けつがれ、現役部員に「それにしてもどこの阿呆だ、こんな踊りを考えたのは」と言わしめることになったのです。 P47
ただ生きているだけでよろしい P62
ぐるぐると天地が廻った。それでもなお、「天地無用」と呻きながら、笹藪を這い進んだ私を誰か褒めてやって然るべきだ。 P68
これぞ千載一遇の好機なり。身の覚えのない度重なる日頃の善行がついに功を奏した。 P68
もはや私は彼女の後ろ姿に関する世界的権威と言われる男だ。 P79
私は古本市の神様にお祈りしたこともありません。私は慌てて手を合わせ、「なむなむ!」とお祈りしました。 P89
その繊細な違いを我々一般人が区別できようもなく、「なんとなくメデタイ」という文化的意味あいを除けば、紅白に分ける意味がない。 P116
「それにしても奇遇です。先輩とはしばしばお会いしますね。これこそ、神様の御都合主義というべきでしょうね」 P222
「世界ボーッとする選手権」というものがあれば日本代表の座も間違いなしと思われるほどに筋金入りのボーッであったのです P228
「パンツを穿き換えなかった頃は風邪なんか引かなかったけれども」と呟いています。「そのかわり下半身の病気になった。どっちもどっちだな」 P246
恋に恋する乙女は可愛いこともあろう。だがしかし、恋に恋する男たちの、分けへだてない不気味さよ! P248
その時の私は、いわば歩く風邪薬でした。 P280
その時、私の脳裏に浮かんだのは「奇遇」という一言に尽きる。 P291
彼女は微笑み、声にならない声で、「奇遇ですね」と言った。私も声にならない声で「たまたま通りかかったものだから」と答えた。 P292
「それはおまえがうつしたんじゃないか」と私が言うと、事務局長は「一蓮托生だよね」と言った。 P296
人事を尽くして、天命をまて。 P300
今後の自分へ
美味しく酒を飲めばよろしい。一杯一杯又一杯
のように、今の時間を思う存分に楽しみ、情熱的で前向きな人生を選んで歩いていきたい。
最後に
京都が舞台で、一章目は先斗町ではしご酒をするという、自分も大学生にころにした経験を主人公たちもやっており、共通項があることもあって、かなり楽しく読むことができた。また、読みずらい文体が妙に心地良かった。ラストの続きが気になるところだが、きっと二人はこんな風にデートをしているのかなと想像できる。読みにくい文体から、二人の主人公の姿や考えが脳裏に浮かぶ。それは決して読みにくい文体ではなく、心に刺さる文体でだったのだ。ニヤニヤして読んでいたのは、恋愛小説だからではなく、小粋なワードがクスクスと心をくすぐられた。単純に読書を楽しめた一冊であった。

