「さみしい夜のページをめくれ」 読了
本の紹介
3冊目は、古賀 史健 さんによる「さみしい夜のページをめくれ」である。
図書館に、ふと目にとまる1冊が。以前に本屋さんで見たことがある表紙の本。あの時は買おうか迷って踏みとどまった1冊。ここで出会ったのは運命と思い、手に取ることに。
心に刺さった文章
うみのなか小学校発、うみのなか中学校経由、うみのなか高校行き。途中下車も乗り換えもない、定番コースの進路 P15
どおしておとなは、自分の子どものころをすっかり忘れてしまい、子どもたちにはときには悲しいことやみじめなことだってあるということを、ある日とつぜん、まったく理解できなくなってしまうのだろう。 P32
人生がくらわす最初の一撃で、グロッキーになってしまう。人生ときたら、まったくいやになるほどでっかいグローブをはめているからね! P34
答えがあるのかないのかわからない問いに頭を悩ませているヒマがあったら、目の前の面倒ごとを片付けなきゃいけない。アタシたちに与えられた時間は、有限なんだ P44
「ま、それはともかく、いちばん正しくて、いちばん退屈な答えを言うなら『手当たり次第に、片っ端から読め』だ」 P49
だけど安心しな。わかるときはちゃんと来る。 P53
「とっくに答えを出しているのに、自分の答えに自信が持てないでいる。自分ひとりで決めるのが怖くって、自分じゃない誰かに決めてもらおうとしている。違うかい?」 P64
「アンタがなにかの行動を起こす。イシダイのお兄ちゃんを助けようとする。でもそれは、イシダイのお兄ちゃんを助けるためじゃない。この苦しい毎日からアンタ自身を救い出すため、アンタは立ち上がるんだ。」 P66
「アタシたちにとっていちばんのよろこびは、だれかやなにかを『好きになること』なんだ」 P93
「自分にとってほんとうに大切な本を読むときのアタシたちは、本のなかに『自分』を読むのさ。まるで鏡を覗き込んで、しげしげと自分の顔を眺めるようにね」 P95
「でもアンタに必要なのは、直接に転校生のことを書いた本じゃないのかもしれない。まったく別の話をしているのに、『これは自分そのものだ』と思える本があるのかもしれない。」 P135
「でも、アンタと同じくらいのさみしさを抱えた作者が、誰かとつながろうとして書いたことばだ。」 P137
「本を読むときには、その『思いどおりのならなさ』がスリルだったり、おもしろさだったりするんだ。」 P140
「ゲームは『する』もの。そして小説は見守っているうちにどこかへ、『連れていかれる』もの。」 P140
「いいかい、本の世界に入りたかったら、最初の一ページを、声に出して読んでみるんだ。つまり、『目で文字を読む』をやめて、身体にことばを響かせるんだ」 P146
「本を探すときにはね、どんなにかしこい理屈よりも、第一印象が大切なんだ」 P164
「本ってのはね、タイトルや表紙のデザインを『見る』ところからはじまる。そしてなにか胸に響くものがあったら、次に『読む』段階に入る。まあ、最初の何行とか、せいぜい最初の何ページだ。でも、その『見る』と『読む』の第一印象が、意外と当たったりするものでね。」 P168
「自分から読みに行って、書かれた文字を頼りに、自分の頭のなかで世界をつくり上げていく。誰の助けも借りず、たったひとりでね。それが読書のおもしろいところであり、むずかしいところだ。本を渡すことはできるけど、読書を渡すことはできない。」 P171
「本は、芸術は、そして物語は、がんじがらめの日常から自分を解き放つためにあるんだ。思いっきり心を動かす、心の運動場としてね」 P194
「教養書は自分の好奇心を満たすために手に取るもので、お勉強の教科書じゃない。むしろ教養書は、疑うくらいの態度で読むのがちょうどいいんだ。」 P199
「その本にはきっと『演劇とはこういうものだ』という作者の意見が書いてある。でも、別の劇作家に言わせるとそれは、まったく見当違いな意見なのかもしれない。」 P201
「なんとなく手にした本の、目次を見る。気になることばを見つける。そのページに飛んで、『自分の考え』とくらべてみる。なるほどと思えることが書いてあったり、自分の常識をひっくり返すようなことばを見つけたりしたなら、その本はビンゴだ。」 P208
「たとえ専門のところで正しいことを言っていたとしても、信頼も尊敬もできない作者と繋がる必要なんてないのさ」 P210
「その作者の『専門分野』と『専門じゃないところ』での話ぶりをくらべてみる。専門家としての優秀さとは別に、ひとりの先輩としての好ましさを見る。」 P210
「そして本のあとがきってのはね、意外と作者の本音や性格が出やすい場所なんだ。」 P212
「小説を読み慣れないうちは、なるべく文庫を選ぶ。それで裏表紙の紹介を読む。おおまかなあらすじを知る。そこでおもしろそうだと思ったら、一ページ目を読んでみる。そして自分に、マイクを突きつけるんだ。『どう?この本、読んでみたい?これっておもしろいと思う?』ってね」 P221
「でも、同じ本を続けて読むとき、アタシたちはもう、ストーリーを追いかける必要はない。ゆっくりと小説そのものを味わって、ひとつひとつのことばを噛みしめながら読むことができる。物語から解き放たれてね」 P224
「最初に読んだときのアタシたちは、広々とした本の世界を片方の目でしか見ていない。続けてもう一度読んだとき、ようやく立体的に理解することができるんだ。奥行きを持った、ほんとうの世界としてね」 P229
「自分で堕ちていっちまうんだよ。長いこと闇を見つめているとね、いつの間にかそっちに吸い寄せられていくんだ。よく言うだろ?深淵を覗き込むとき、深淵もまたお前を覗き込んでいる、って」 P255
「闇の誘惑を振り切って、光を探す。ちいさな希望を、その光を、自分のなかに探していく。そして見つけた光だけを追って、前に進む。足元の暗闇は、いっさい見ない。おかげでいつも、明るく照らされているのさ。」 P256
家の近くにこんな本屋さんがあったら、ぼくも本が好きになったかもしれないな、と思った。 P276
「ぼくは別に、勉強を選んだわけじゃないんだよ。やっぱり学校の勉強は、やらされてることなんだよ。三年間全力で勉強して、しお高とか合格したら、すこしは『やった』って思えるのかもしれないよ?でも、それとイカリくんやサワラモトさんの『やった』は、ぜんぜん違うよ」 P289
「これが『学び』本来の姿なんだ。つまり、すべてのはじまりには『自分が学びたいと思える師匠を探すこと』があるんだ」 P293
「学びってのは、学ぶ側が『選ぶもの』なんだよ。だからさっき言ってたイカリってお兄ちゃんの態度はまったく正しい。だれに学ぶか、なにを学ぶか。それを選ぶのは、アンタちなんだよ」 P293
「本だよ。アンタたちは『自分の本』を、選ぶことができるんだ」 P294
「アタシたちはずっと、『選んだおぼえのない自分』を生きてきた。中学生や高校生くらいまでは、とくにそうだ。選んでいいのはお菓子くらいで、大事なことはなに一つ選べやしない」 P297
「でも、家を出る。本屋さんに行く。本棚を眺める、そこでは、学校じゃ決して聞かせてくれないような話が、堂々と語られている。むずかしい話もあれば、おもしろい話、危険な話、残酷な話、思わず耳を塞ぎたくなるような話だってあるだろう。そしてアンタは、一冊選ぶ。両親も知らない、学校の先生も知らない、仲良しの友だちだって知らない、『自分だけの一冊』を選ぶ。それは、本を選んだんじゃない。自分の進む道を、選んだんだ。自分はこっちを信じる。自分はこっちに一歩踏み出すんだ、ってね」 P298
「電車やバスで読む時も、教室の片隅で読む時も、ブックカバーがあれば秘密は守られる。まわりの目を気にすることなく、自分ひとりの世界に入っていけるわけだ。」 P305
たしかに、お母さんの前での自分と、トビオくんたちの前での自分、先生と話すときの自分、そしてサワラモトさんたちとモトさんたちとしゃべるときの自分は、ぜんぜん違う。どれも自分だけど、ぜったいに同じ自分じゃない。 P312
「これからアンタたちの本棚には、たくさんの本が並んでいく。心が洗われるような青春小説、ハラハラドキドキのサスペンス、魂が震える純文学、目を開かせてくれるノンフィクション、頭が沸騰するくらいにむずかしい哲学。旅行記をおもしろく思う自分もいれば、SFやファンタジーにハマる自分もいる。ホラー小説にゾクゾクすることだってあるだろう。どれも欠かすことができない『自分』だ。そうしてバラバラだったはずの本が集まっていつしか、ぼんやりとした自画像ができあがっていくのだ」 P316
「なんとなく自分には合わなかった本。その日の気分に合わなかった本。むずかしすぎて理解できなかった本。十分にたのしんだけど、たのしいだけで終わった本。そう言う本はすべて自画像の『背景』になっていく。だから、きょう選んだ本がイマイチだったとしても、なにも気にしなくていい。読んで損したとか、時間が無駄だったとか、思わなくていい。それはアンタの自画像に深みや彩りを与えてくれる、大切な背景になるんだからね」 P322
まず、イシダイくんは演劇なんかやったことないし、できるかどうかもわからない。でも、こんなこんなふうになにかをはじめてもいいんだ。人生って、こんなふうに本一冊で決めちゃっていいんだ。なにか、全身にオオクラゲの電流が走るくらいのショックを受けた。 P338
今後の自分へ
本を選ぶとは、自分を選ぶと言うこと。「幸せとは選ぶこと」と「また同じ夢を見ていた」で書かれている通り、本を選び、それは自分の骨となり肉となり、自分の幸せにつながっていく。だとしたら、色々な本を手に取って、教養書なら「三つ比べる」で、小説なら「三つのそれで」でピンとくる本に出会いたい。もし失敗してもそれは自分の背景になるのだから怖いものはなし、ただひたすらひたむきに本を選んでいくだけだ。自分を描くために、自分という人格を作るために本を読んでいきたい。
最後に
まさに運命の一冊であった。これから読書を頑張るぞと意気込んですぐに出会えたこの本には、本の見つけ方が上手に書かれている。いや、自分には分かりやすく書かれている。登場人物の思考も自分に似ていて、境遇も似ていて、より話が入ってきた。知っているフレーズ「これは私のお話ではなく、彼女のお話である(夜は短し歩けよ乙女)」も出てきて大興奮!この本のおかげで、これからたくさんの本と出会えそうだ。

