ちょっと今から仕事やめてくる 読了
本の紹介
北川 恵海さんによる 「ちょっと今から仕事やめてくる」 。
きっと社会人はだれもが考えたことがあるフレーズがタイトルになっていて気になり、手に取ってみた。
心にささった文章
そして、その心が解放される一瞬は、眠りについた瞬間に終わってしまう。身体は眠りたいはずなのに、脳みそが眠りを拒否しているような感覚に陥る。 P10
眠ってしまうと今日が終わる。目覚めた時にはもう明日だ。眠りたくない。眠らなければ明日は来ない。 P18
「そこは『お前もニヤついてんじゃん』やろ!」 P36
『休みの日こそ、気合を入れてお洒落をしろ』 P38
はたまた、誰かに何かを説明するときは自分で思う1.5倍ゆっくり話せ、などということまで P40
電話を切った後、様々な気持ちが体中を交錯していた。みんな同じだ。苦しんで、もがきながらも、なんとか自分の道を見つけようと模索している。 P58
「同じくらいの順位のチームでも、全く点を取られへんかった選手が、チームを移った途端、大活躍する場合だってあるやろ。人と同じで、職場にも相性ってもんがある。動くことには確かにリスクもあるけど、現状を変えるのがむずかしいなら、動いてみるのも有効な手段やねんで」 P107
「隆にとって、会社を辞めることと、死ぬことは、どっちのほうが簡単なわけ?」 P110
小さな子供を連れた母親、馬鹿みたいに笑い合っている女子高生、幸せそうなカップル。そこにいる俺以外の全ての人が、人生を楽しんでいるように見えた。 P117
「あとの半分は、お前を大切に思ってくれる人のためにある」 P166
「なあ、隆。お前は今、自分の気持ちばっかり考えているけどさ。一回でも、残された者の気持ち考えたことあるか?なんで助けてあげられなかったって、一生後悔しながら生きていく人間の気持ち、考えたことあるか?」 P167
「ひとつだけ言えるのは、久しぶりにあった”同級生”に、大事なものがいっぱい詰まったカバンをむやみに預けたらアカンってことやな!」 P172
親父は少し沈黙した後、こう続けた。お前はまだ若いんだ。今のうちにいくらでも失敗したらいい。 P175
もし、……もしもだけど、俺が会社辞めたいって言ったらどうする?
あーら、別にいいんじゃない?だって別にいいじゃない。会社は世界にたったひとつじゃないんだから P177
大丈夫よ。人生なんてね、生きてさえいれば、案外なんとでもなるもんよ。 P179
「逃げ方を教えていなかったの。私はそれに気づいていなかった。あの子は小さい頃から真面目で、頑張り屋さんで。私も夫も、いつも頑張れ頑張れって励ましながら育ててきた。大丈夫、あなたならできるから頑張って、って。」 P187
「一番最後にね、あのこと電話で話したとき、私、言ったのよ。『大丈夫よ、あなたなら』って。本当に無責任よね。あの子はもう、大丈夫なんかじゃなかったのに。ダメだったら辞めていいのよって、言ってあげられなかった。あの子の苦しみに、気づいてあげられなかったの」 P187
ゆっくり昼前に起きると、携帯を手に取った。着信履歴が七件。全て会社からだ。シャワーを浴び、パンツ姿のまま遅い朝食をとって、その後スーツに着替える。 P194
「ちょっと今から仕事やめてくるわ」 P201
「人の心を持っていない奴に、人間かなんて言われたくねーんだよな」 P205
「俺の人生は、お前のためにあるんでも、この会社のためにあるんでもねえ。俺の人生はなあ、俺と、俺の周りの大切な人のためにあるんだよ!」 P206
「負け犬、負け犬って、一体に何を指して負けなんだよ。人生の勝ち負けって他人が決めるものか?そもそも、人生は勝ち負けで分けるものなのか?じゃあ、どこから勝ちでどこからが負けですか。自分が幸せだと思えたら、それでいいでしょう。僕は、この会社にいても自分が幸せだとは思いません。だから辞める。ただ、それだけです」 P206
「簡単じゃなくてもいい。」むしろ簡単じゃいけないんです。僕は、この会社を簡単に選びすぎた。時間を変えるのが怖くて、内定もらえりゃどこでもいいなんて、仕事なんてそんな気持ちで決めるもんじゃなかった。次は本当にやりたいことを見つけますよ。時間がかかったっていい、ステータスなんてなくたっていい。たとえ無職になったって、最後に自分の人生、後悔しないような道を見つけて見せますよ」 P207
「でも、そんな僕でもひとつだけ変えられるものがあります。それが、自分の人生なんです。そして、自分の人生を変えることは、もしかしたら、周りの大切な誰かの人生を変えることに繋がるのかもしれない。そう気づかせてくれた人がいるんです。友達がいるんです。両親が心配してくれているんです。」 P208
どうして一人で生きようとするんだ。お前のことは誰が救ってやるんだ。 P213
『人生って、それほど悪いもんじゃないだろ?』 P219
この世で生きていくためには、誰もが働かなくてはならない。やりがいのある仕事ばかりじゃない。理不尽なことだってたくさんある。その都度みんなが仕事を辞めてしまっては、確かに社会は成り立たないかもしれない。
けれど、社会のために誰かが犠牲になる必要なんて、決してないはずだ。誰にでも幸せになるチャンスは巡ってくる。たとえそのチャンスの全てに気づくことができなくても、一度くらいは人生を変えるタイミングを見つけることができるだろう。それを掴めるかどうか。
それはもしかしたら、その時、その人のそばにいる”誰か”の言葉によって大きく左右されるのかもしれない。 P228
今後の自分へ
仕事に対して、自分の人生に対して、自分を支えてくれる家族に対して、マインドをあらためてくれる一冊であった。何が自分の幸福なのか、今一度立ち返らせてくれた。家族を優先にこれからも生活していこうと思う。
最後に
読み進めるうちに、そこにはまさに自分がいた。前職の時の自分が、そしてその主人公を救うもう一人の主人公の気持ちの気持ちもすごく理解できる。人のことは救うが、自分のことになると他人に任せたくない、助けを求めろという割に、自分は助けを求めない。そこにも自分がいた。ページをめくる手を止められずに一気に読み上げてしまった。
全社会人がこの本を手にし、読めば、救われる命はもっとあると感じる。大人になった我が子にも読んでもらいたい一冊だ。
”転職”やら”労基”やら、2015年以前から社会の話題になっていたことにびっくりした。youtubeでここ何年でよくショートに流れてくるが、小説はその時代の背景がわかるので、そこも面白い。

